2016年7月13日水曜日

タヌキにあらず

仕事場で使う副食材を納めに来た食材卸業の営業さんとの雑談で面白い話を聞いた。

その人は約1年ほど前に福岡市の隣の粕屋郡内に家を建てて家族で暮らしているのだが、今年になって午後に庭先へタヌキが来るようになったと言う、最初はこちらの姿を見るだけで逃げて行ったのだが、何度か出くわすうちに声を掛けてパンや晩メシの残り物を投げると近くに寄ってくるようになり、ついにはもう1匹を連れて来るようになったらしい。

ダニがいるかもしれないので触ろうとまでは思わないが、庭先にやって来るタヌキをかわいいなぁと家族で眺めて楽しんでいると言う。

そうか、それはきっとかわいいだろう、ずんぐりとしたタヌキはどこにでもいるが人馴れして近くに寄って来る個体はそうそういない。

だが、その営業さんは「顔が白くて耳が極端に小さなかわいいタヌキ」と言った、顔が白くて・・・耳が極端に小さな・・・、いや、それはたぶんタヌキではない、アナグマだ、正しくはニホンアナグマと言う。

確かに、後ろ姿などを見るとタヌキと区別がつきにくい、「あ、タヌキだ」と思ってしまうだろう、だが、顔がかなり違う、タヌキのように黒っぽい顔ではなく、鼻筋は白いし目の部分が黒っぽいのだ、私はアナグマの画像を手元に持っていないのでここに載せることはできないが、「ニホンアナグマ」で画像を検索してみるとよく分かると思う。

私も過去に何度かアナグマを直に見掛けたことはある、最初は野河内渓谷(福岡市早良区)、その次は奈多(福岡市東区)の海岸へ出ようと一般道から分岐した人道を歩いている途中だった、その次は・・・どこだったろう、忘れてしまった。

アナグマも人馴れする動物ではあるが、いささか気が荒いところもあるので、見た目がずんぐりとしている上に、おっとりした顔つきで可愛いからと迂闊に手を伸ばすと驚いて咬みつかれてしまうこともあるので注意が必要。

近づくには、何度も顔を合わせ、ゆっくりと時間をかけてからでないと無理。

「そんな生き物がいるのか、田舎だなぁ」と思う人もいるかもしれない、だが、アナグマは都市部にも生息している、大阪や東京といった大都市の中でも世代を継いで生きている個体もいるのだ。

ある日突然出くわすことがあるかもしれない、もし、興味が湧いても相手は基本的に野生の動物なので、観察は必ず距離を置いて、静かにどうぞ。>皆様