2016年9月20日火曜日

事実は数値予報よりも奇なり


最接近時よりも遠ざかるにつれ風が強くなる台風だった。

非常に強いと書き表される台風16号が鹿児島県の大隅半島に上陸した、私は「高解像度降水ナウキャスト」で鹿児島県付近の雨雲のレーダー画像を5分という更新間隔の全てを漏らすことなく追っていた、なので今日の深夜0時前後に台風の目がそこに重なって通過する様をリアルタイムで見ていた。

目は丸くはっきりとしていた、強い台風の証なのだろう、なにしろレーダー画像の上では1時間に50mm以上降るであろう赤や紫に色付けされた雨雲が目立つ台風で、事実1時間に100mmを超えた地点は幾つかあり、総雨量でも大変なことになっている。

まともに通過して行った地域の人はさぞ大変だったろう。

一方、福岡にとっても最接近は台風が大隅半島上陸時から宮崎県を抜けるあたりまでだったのだが、この時点では台風本体の雨が降っているだけで風は10mも超えずにたいしたことなかった、だが、台風が四国沖に進んだ頃から風が強くなり、夜が明けた午前中には20mを超えた、台風が弱まりつつあり遠くなったからと油断していた人は思わぬ強風に驚いたかもしれない。

紀伊半島に再上陸してからの予想進路で自然の難しさをあらためて知る出来事があった、実際の進路がズレたのだった、それと同時に数値予報の確かさも知った。

実際の進路がズレたのに数値予報の確かさなど矛盾しているように思われるかもしれないが、私が最後に確認した予想進路では東へ進むのには変化はないものの、従来の「北東」や「東北東」といった予想から北寄りの部分が消えて「東」かもう少し南寄りの予想が出ていた、それを見た時「おや?」と思ったのだった。

実際には急に南東方向へ進んで東海沖の太平洋上で温帯低気圧に変わり、台風としてはそこで消滅した。

進路はズレはしたが、愛知県あたりで多少なりとも南寄りに向きが変わると予想できたのはたいしたものだと思う、「予想大外れ!」と言う人のほうが圧倒的に多いが私は「大外れ」とまでは思わない。

台風の進路を知りたい時は気象庁とアメリカ海軍の両方で見るようにしているが、その予想進路図を見て台風が南寄りに向きを変えるのが理解できたのは気象庁のほうだった。

とはいえ、気象庁も向きを変えつつも東へ進み関東から離れた地点で消滅という予想はアメリカ海軍のそれと同じで常にどちらが正確だとは言えない。

何れにせよ自然はとてつもなく、また不思議である。